学科長挨拶
学科長 両羽 美穂子
看護学科は、2025年度に開設15年目を迎えました。本学科では、開設以来、「ヒューマン・ケアリングとしての看護実践力」の修得を目指し、教育を展開しています。その教育の根底には、キリスト教ヒューマニズムの精神があります。つまり、人間を理解し、人格の尊厳と基本的人権を認め合うこと、また、多角的な視野から課題を見つけ、自ら問いを立て、解決するためのクリティカルシンキングを身につけ、学びの成果を他者のために役立てる。ひいては、人間としての成長につながる、というものです。とりわけ人と人との信頼関係に基づき行われる看護においては、対象となる人の価値観と経験に敬意を払い、相手のよいものを引き出すことが重要です。そのために必要な力を修得できるよう、専門である看護学のみならず、総合人間科学部としての特長を活かして、本学科独自の体系的なカリキュラムを整えています。
4年間の学修により、看護師の国家試験受験資格を得ることはもとより、選択制ではありますが、必要な科目を修得することで、保健師国家試験受験資格や養護教諭一種免許状の取得も可能です。また、卒業後に助産学専攻科に進学することを目的に、本学科に入学する学生もいます。
看護は、あらゆる健康レベルの人を対象とし、健康という側面からその人の生活に関わっていきます。人々の健康は、個人の問題だけではなく、covid-19の蔓延で経験したように、世界規模の問題から脅かされることもあります。このように身の回りに起きていることから、グローバルな問題まで我がこととして捉え、人として生涯学び続ける力を持ち、“For Others, With Others (他者のために、他者とともに)”の精神で、より良い世界の実現に寄与することを目指しています。
学科理念
総合大学である上智大学のメリットを活かし、教養教育と看護専門教育を総合したカリキュラムで学びます。看護学科では、キリスト教の精神に根ざした人間理解を深め、目標である「温かでしなやかな感性」を育み、グローバルな視点に立った異文化理解を深め“他者のために、他者とともに”生きるための素養を身につけることを目指します。また、ケアする者とケアされる者の相互関係性に目を向けた良質なケアについて、考え抜く力、自ら問いを立て探究する力を駆使し、「主体的に取り組む学習推進力」を培うことを目指します。さらに、相手にとって最適な看護のあり方を思考する過程を通して、出会う一人ひとりの価値観と経験に敬意を払い、相手のよいものを引き出せる「ヒューマン・ケアリングとしての看護実践力」の修得を目指します。
カリキュラムの特徴・履修科目
本学の看護教育は、幅広い学問的関心を通して社会の変化や多様性に自律的かつ柔軟に対応できる素養を身に付け、質の高いケアを実践できる人材を育てることを目指しています。また、グローバル時代のニーズに対応できる国際性豊かな人を育むことを目標としています。これを実現するために、キリスト教の精神に基づく教養教育の全学・学部共通科目を学びます。さらに、あらゆる環境において最適な看護を実践できるように、看護の基礎科目や臨床応用力を培うための演習・実習科目を学び、専門職業人としての知識・技術・態度を深めます。
4年次は、関心のあるコース選択も可能であり、さまざまな場に応じた看護を実践し、リーダーシップを育むことを目指します。
【履修科目一覧表】(画像をクリックすると拡大図を表示いたします)
科目の詳細については、Webサイトのシラバスをご覧ください。
プラクティカル・リベラルアーツと実践学に基づく新しい看護教育モデル
選択コースについて
上智大学では、卒業後の実践の場へのつながりを意識し、4年次に2つの選択カリキュラムを設定しています。
- 保健師コース
- 保健師コースでは、保健師免許の国家受験資格の取得を目指すとともに、地域における看護・保健・医療・福祉のあり方を探求します。
- 国際看護学コース
- グローバル化により国内外の医療現場の看護師の役割は拡大し、異文化を背景に持つ対象や家族と関わる機会が増えています。また、開発途上国での国際協力、在留外国人に公平で安全な看護を提供するために、対象の文化的背景や健康行動に関する幅広い知識や高度なコミュニケーション能力が求められています。本コースでは、海外の大学とのオンライン授業や学内演習、開発途上国での実習を通して、国境を超える普遍的な看護職の役割について多面的に学ぶことを目的としています。