教育学科 / 「人」が「育つ」、「人」を「育てる」ことを学び「人間の尊厳」への洞察を深めていく

教育学科教授の相澤真一が校長先生宛の調査を実施しております(2024年3月)

2024年3月5日発送開始で、全国の450校ほどの私立高校の校長先生宛の質問紙調査「高等学校の現状と未来に関するアンケート」を研究代表者として実施しております。届きました学校長の先生方は、ご回答の上、3月中にご返送くださると幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。 なお、本調査は、上智大学学術研究特別研究費「自由課題研究」として研究費の助成を受け、上智大学「人を対象とする研究」に関する倫理委員会の承認のもと(2023-140)、企画・実施されるものです。

教育学科生がタイの大学生とミャンマー難民・移民に関する協働学習に取り組みました(2024年2月)

国際教育開発を学ぶ教育学科生(2~4年生)7名が、大学院生2名と共に、小松太郎教授の引率のもと、難民の教育課題に関する研修に取り組みました。研修は、タイ北部チェンマイ大学の学生8名(ミャンマー出身の学生もいます)と協働して行いました。タイ北部では、ミャンマーの内戦から逃れてきた多くの子どもや若者が様々な教育プログラムで学んでいます。彼らの学びへの動機、複雑な教育経路、紛争の教育への影響を理解することが研修の目的です。現地研修の前後では、両大学をオンラインでつなぎ、COIL(国際オンライン協働学習)を実施しました。参加者は、上智とチェンマイ両大学の教員から講義を受けたうえで、ミャンマーとの国境に近い町メ―ソットでの教育プログラム視察を行いました。帰国後には、再度オンラインで両大学の学生が集い、現地研修の振り返りを行いました。COILと現地研修を組み合わせた学びや、現地大学の学生との協働作業により、上智生は多くの学びを得たようです。

研修を通じて、参加学生は二つの大学の混成チームで現地調査や考察したことをまとめたフィールドノートを作成しました(以下のリンクから閲覧可能)。加えて、上智生は、各々が研修前に設定した自身の探求課題に対する回答と研修全体の振り返りをまとめたレポートを作成しました。学生からは、『「教室」「学校」と言った言葉から想像ができない情景であり、現地に出向いた私だからこそ五感を通じて知ることができました』『CMUの学生たちと共に学べたことも大きいです。実際に難民だった子もおり、年齢の近い彼女たちから直接聞く経験は、さらに学んだことが自分の中に入っていく感覚でした』といった感想が共有されました。

教育学科卒業生と渡辺文夫名誉教授による書籍が出版されました。

中尾元(編著)・渡辺文夫(監修)(2023)『異文化間能力研究―異なる文化システムとの事例分析』新曜社。

この本の企画が生まれたのは、パンデミックの厳しい検疫のために、2020年3月から2022年3月までの期間、日本に私が帰国できずにフィリピンの自宅に「閉じ込められていた」ことがきっかけだった。上智大学の教育学科に勤務していたとき担当していた「異文化教育学」の元ゼミ生たちとパンデミック以前に折々に日本で開催していた懇親会が開けなくなったために、フィリピンにいる私と欧米や日本に住む元ゼミ生たちとオンラインで「会う」こと(時にはオンライン呑み会)を始めた。その中で私が本を出版することを提案した。教育学科卒業後、ニューヨークのフォーダム大学で修士号、京都大学で博士号を取得し、追手門学院大学の教員になった中尾元君の研究を中心に世界中で活躍してきた元ゼミ生たちの体験がうまく組み合わされ、説得力がある新しい形の学術書ができると思ったからだった。中尾君が編集と出版の段取りの中核を担い、その後2年の時間をかけ社会科学領域では定評がある新曜社からこの本が出版された。編者と何人かの執筆者によって英語と中国語での翻訳・出版の計画も検討されている。[渡辺文夫、上智大学名誉教授、1972年教育学科卒]

世界がますます多様化する中、人々が互いを否定することなく関係を築き、共に生きていくために大切な態度や能力は何か。本書は、異文化間心理学の様々な理論と、12の質的な事例研究を橋渡しすることで誕生した、異文化接触の現実(リアリティ)に基づく研究書籍である。この理論と実践のコラボレーションにより、読者は異文化間コンピテンスのテーマや方法論、概念、そして応用的な側面を学ぶことができる。とりわけ、「特性論」や「関係論・行為論」、そして「異文化接触の帰結」といった3部構成からなる枠組みを通して、本領域への見通しが良くなるであろう。さまざまな分野で異文化の中で働く人々の多様で深い考察をまとめた、他に類を見ない一冊となった。筆者自身の教育学科の学びの結果として、研究と体験とを結びつける書籍ができたことは感慨深い。多くの在学生にも読んでもらいたい。[中尾元、追手門学院大学講師、2008年教育学科卒]

ウクライナの大学とオンライン合同ゼミ-緊急下での学びをいかに継続するか

「国際教育開発学演習」(担当:小松太郎教授)では、2023年4月から5月にかけて、ウクライナの都市リビウに位置するウクライナ・カトリック大学(UCU)とオンラインで合同ゼミを数回にわたって実施しました。上智生10名、UCU生18名が参加し、「緊急下の教育継続」をテーマに小グループに分かれて議論しました。学生は、関連する研究文献について意見交換をしつつ、お互いの個人的な戦時中・自然災害被災の経験を共有しました。ゼミの最後には、議論の内容をもとに共同でレポートを執筆しました。両大学の学生にとって、この合同ゼミは、互いの社会に共通の教育課題があることを認識し、教訓を共有し合うことの必要性を理解する貴重な機会となりました。

比較国際教育学研究プラットフォーム(SCIEP)が立ち上がりました。

教育学科では、教育の国際研究および交流の拠点づくりを目指して、このほどSophia Comparative and International Education Research Platform (通称SCIEP)を立ち上げました。本プラットフォームは、比較教育学、国際教育学が取り上げる国際共同研究を中心に、教育の様々な分野の国際研究交流活動の活性化を目指すもので、教育学科の教員や研究員、大学院生を中心に、学外の研究者も含めた様々なプロジェクトを紹介し、国内外の比較国際教育学研究交流を図ろうとするものです。様々なプロジェクトの参加者とともに、本プラットフォームを基盤に研究ネットワークを国内外に拡げていくことができればと思っています。

教育学科を基盤にした「持続可能な開発のための教育」に関するSophia-ESDプロジェクトが始まりました(2021年度~2023年度)

教育学科では、上智大学学術研究特別推進費(重点領域研究)(2021年度~2023年度)の採択を受け、「アジアにおける持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development: ESD)に関する比較国際教育学研究」(研究代表者:杉村美紀)のプロジェクトを開始しました。 本プロジェクトは、地球規模課題をめぐる持続可能な開発目標(SDGs)達成に向け展開されているESDに焦点をあて、学校におけるESDの実践研究、高等教育とESD、学修成果の評価モデルの研究、比較国際研究の各領域から研究するものです。2022年3月26日には、プロジェクトのキックオフシンポジウム「持続可能な未来社会の創造と教育の役割」がオンラインで開かれました。冒頭、文部科学省国際統括官付の堀尾多香氏のご挨拶をちょうだいし、基調講演にはユネスコ・アジア太平洋地域教育事務所の青柳茂所長、カナダのマギル大学のBlane Harvey博士をお招きし、15の国と地域から180余りの参加登録を得て開催されました。

教育学科主催国際シンポジウム「高等教育における学びの創造と学修評価の質保証」を開催

教育学科では、2022年1月30日に、上智大学および上智大学国際言語情報研究所との共催で、国際シンポジウムを主催しました。同シンポジウムは、平成3年度科学研究費補助金事業「高等教育における学修成果の可視化に関する国際共同研究」(研究代表者・杉村美紀)において、国際基督教大学とともに参加している経済協力開発機構(OECD)の国際比較研究プロジェクトの活動を基としたものです。オンラインで開催されたシンポジウムには、12か国から220名の登録を得ました。高等教育では、創造的な学びのあり方が喫緊の課題となっており、ユネスコは2021年11月に2050年までの教育ビジョン “Reimagining Our Futures Together―A New Social Contract for Education”を発表しました。持続可能な社会発展を担うグローバル・シティズンの育成において「質の高い多様な学びの保証」をいかに実現するか。本シンポジウムではユネスコのノア・W・ソーベ博士の基調講演を基に、ジョージワシントン大学のジェームズ・ウイリアムズ博士および国際基督教大学の西村幹子教授を迎え、「学際的な領域における学修評価と質保証」ならびに「グローバル・コミュニケーションにおける学修評価と質保証」の2つの観点から議論しました。

加藤守通教授の最終授業が行われました

教育学科の教員として教鞭をとられてきた加藤守通教授の最終授業が2020年1月21日に2号館にて行われました。加藤教授より、日を改めて最終講義としての開催を固辞されたため、加藤教授の担当授業の1つである「哲学」の最終回にて行われました。会場には、教育学科の全教員が集まり、加藤教授のユーモアとウィットに溢れる講義に学生たちのみならず、教員たちも加藤先生が本学にもたらしてくださったものの大きさを感じさせられました。講義終了後に花束を贈り、学生たちとの記念撮影を行いました。

後日、総合人間科学部の教員たちで行われた感謝の会にも、加藤教授と多くの教員が参加し、本学での思い出を語り合いました。最終授業ならびに感謝の会からほどなくして、新型コロナウイルス感染症が拡大し、このような会を催すことができなくなりました。2019年度に催すことができた数少ない最終講義となりました。コロナ禍の前に無事催すことができたことを、学科教員一同大変嬉しく思いつつ、加藤教授の今後のご健康と更なるご研究の発展を楽しみにしております。

(文責:相澤真一 教育学科教員)

教育学科がタイの大学とESD評価に関するシンポジウムを開催

2019年11月2日に、教育学科とタイの名門校チュラロンコン大学とチェンマイ大学、および上智大学ASEANハブセンターとの共催で、持続的な多文化共生のための教育評価をテーマにしたシンポジウムをバンコクで開催しました。上智大学からは教育学科の小松太郎教授が教育学科科目「多文化共生社会におけるESD・市民性教育」の評価デザインについて発表を行ったのに続き、教育学専攻院生の松倉紗野香さん、上智大学廣里恭史教授が、それぞれが担当するESD科目やプログラムの評価に関する試みについて紹介しました。タイの二つの大学からは、タイ国内における多文化共生の課題とノンフォーマル教育の評価などについての発表が行われました。続くパネルディスカションでは、評価活動にプログラム受益者、特にマイノリティの声を反映することや、今後も両国でESD評価に関する研究会を開催していくことなどが提案されました。ESDは国内では中等学校を中心に活発に実施されていますが、大学では必ずしも行われておらず、またその効果を確認する評価の仕方については世界的にも十分な議論がされていません。本シンポジウムは、高等教育機関におけるESDの実施・評価・実践改善に関する議論の活性化に貢献したと言えます。

田中治彦教授の最終講義が行われました

教育学科の教員として教鞭をとられてきた田中治彦教授の最終講義が3月2日に6号館にて行われました。
会場には、在校生、卒業生のみならず田中教授が長年続けてこられたコミュニティカレッジの受講生やNGOで関わった方々の姿もあり、研究と活動の幅の広さを表していました。
「ユースワーク・開発教育研究の軌跡」というタイトルで講義が行われ、田中教授の子ども時代や学生時代の紹介から、郵便友の会での文通や東南アジア青年の船への参加によるユースワークの活動について触れ、現在の研究テーマであるSDGsと教育につながるまでの経験について講義されました。
田中教授は、ご自身の研究を振り返り「常に若者の動向に着目して研究を行ってきたからこそ、時代の先取りをした研究を進めることができた」とお話しされていました。

その後、場所を2号館へ移して開催された感謝の会では、多くの卒業生が思い思いの企画を催し、参加者を交えながらユーモアの溢れる和やかな会となりました。

(文責:松倉紗耶香 教育学専攻博士前期課程1年)

2018年度 ミャンマーゼミ合宿

2018年9月3日から11日にかけて、小松太郎教授引率・指導のもと国際教育開発学ゼミの学生4名と他大学教育学ゼミ1名が、ミャンマーにて研修合宿を行いました。オレンジの布をまとったお坊さんが一際目を引く中、どこか混沌とした街の中に、国境を接する国々の雰囲気が同時に存在しているミャンマー。そのミャンマーの複雑な社会を生きる、「多文化社会」に対峙する若者と国境を超えて言葉や想いを共有できた経験を通して、彼らの底知れぬ可能性と教育の意義を感じることができました。また、貧困地域の子どもたちとの交流では、石鹸一つも買うことができない子どもたちに手洗いの方法を伝える時間があり、彼らが生きる現実と自分たちが教えていることの矛盾に葛藤する場面もありました。今回のゼミ合宿は、国際教育開発という領域における関心をより深める貴重な機会となり、微力ながら平和な社会を実現するために、グローバル人材として貢献していきたいと強く思い、その意欲と情熱を深めることができました。[文責:笹川千晶、教育学科3年]


貧困地域の子どもたちへのコミュニティ活動を共に行ったタウンジーの学生たちと。


小松太郎教授と国際教育開発学ゼミの学生。タウンジーにあるインレー湖での一枚。

高祖敏明教授の最終講義が行われる(2018.3.3)

長年教育学科の教員として教鞭をとられてきた、高祖敏明教授の定年退職に伴う最終講義が6号館で3月3日に行われた。タイトルは「私の教育研究の軌跡-教育史研究から学校法人の管理運営まで-」である。

講義は、高祖教授の経歴に沿いつつ研究内容および学校法人の運営についてお話する形で進行した。講義では多くのスライド写真が映し出された。高祖教授は、主にキリスト教が日本の教育に与えた影響について教育史の観点から研究を進められてきた。また、本学院の理事長を務められてからは、私立大学全体の発展を期して貢献したことなどが報告された。2時間に及ぶ講義であったが、集まった約300人の参加者は熱心に聞き入っていた。

その後、2号館の食堂に場所を替えて感謝の会が開かれた。ここでも歴代学生たちとの活動がスライドで紹介されて、卒業生たちから歓声をあがっていた。高祖教授は今年度で理事長職も辞することもあって、感謝の会には学長やイエズス会日本管区長ら多数の来賓が訪れた。

『SDGs資料集-持続可能な開発目標を学ぶために』を発刊しました(2017.9.25)

2016年より始まったSDGs(国連・持続可能な開発目標)の理解を促進するために表記の資料集を発刊しました。資料集は授業や研究のために使われて、教育学科のみならずSDGsに関心をもつ他学科の教員からも好評です。
内容は以下のとおりです。

第1部
持続可能な開発目標(SDGs)とは?
第2部
SDGsを理解するためのワークショップ
第3部
SDGsの目標・ターゲット・指標と各目標の開設
第4部
我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ
第5部
持続可能な開発目標(SDGs)実施指針
第6部
SDGsに関する参考資料・ウェブサイト

東アフリカの教育関係者を招いて、教育と平和に関するセミナーを実施しました

2017年8月5日に、教育学科と国連ユネスコ、日本政府、広島大学などが共催して東アフリカ(ウガンダ、エチオピア、エリトリア、ケニア、ソマリア、南スーダン)の教育政策立案者、学者、現職教員、教員養成者を招いてセミナーを開催しました。セミナーでは、教育学科の小松太郎教授がキーコンセンプトについて事例を交えて説明を行い、その後に参加者と共に、教育政策・実践における紛争予防への配慮や長期的な平和構築にむけた取り組みについて話し合いました。セミナーは、Teacher Training and Development for Peace-Building in the Horn of Africa and Surrounding Countries 事業の一環で開催されました。

講演会「サマーヒルスクールの自由な学び・育ちを知る」を開催しました

2017年4月22日に、教育学科とNPO法人フリースクール全国ネットワークとの共催により、「サマーヒルスクールの自由な学び・育ちを知る」と題された講演会を開催しました。サマーヒルスクールは、A.S.ニイルが設立した世界で最も歴史のあるフリースクールで、「世界で一番自由な学校」として知られています。当日は、活動の中心的人物であるニイルの孫のヘンリー・レッドヘッド氏の講演と、卒業生や保護者のパネルトーク、ならびにサマーヒルの子どもたちが作成した短編映画の上映がありました。多様な教育機会の保障が求められる今日、フリースクールの社会的意義に対する評価が高まっています。今回の催しは、これからの教育の在り方を考えるうえで、貴重な学習の機会となりました。

2016年度 タイ教育調査

2016年8月21日から31日にかけて、教育学科の学生を中心に、他学科の学生も含めた6名がタイに赴き、教育調査を行いました。国際教育開発学ゼミ担当教授の指導のもと、研究の問いの設定から調査の立案と実施、報告書の作成まで殆ど自分たちが担当しました。調査では「タイ国における教師・保護者の持つバックグラウンドや二つの調査地(都市部と農村部)の現状が、教師・保護者・子どもの意識や実際の教育内容にどう影響を与えるか」という問いを立て、教師や保護者へのインタビュー、子どもへの質問紙調査を行いました。現地では開発コンサルタントの方にご協力を頂きました。この調査を通して研究の難しさを痛感したとともに、自分たちの立てた研究の目的に対してとことん追求していくという研究の楽しさを知る貴重な経験となりました。(文責:教育学科3年須藤玲)


訪問調査したタイの中等学校。後方に並んでいるのが参加メンバー。

『18歳選挙権と市民教育ハンドブック』発刊しました

教育学科では、参加型学習教材『18歳選挙権と市民教育ハンドブック』を発刊しました。2016年7月の参議院選挙から18歳以上の若者が投票できることになりました。これに伴い中学高校での現行の公民教育・市民教育を全面的に見直す必要性が生じています。本ハンドブックは理論編と実践編から構成され、次のような特色をもっています。ご関心がある方には本ハンドブックを郵送料のみでお分けしています。教育学科事務室(電話:03-3238-3650、E-mail: deducat@sophia.ac.jp)までお問合せください。

  1. 知識、スキル、態度のバランスがとれた市民教育プログラム
  2. 社会や世界の出来事を自分の問題として引きつけて考えるための参加型の学び
  3. 選挙権がある日本国籍の子どものみではなく、外国籍の子どもも含めた市民教育
  4. 「声なき声」に耳を傾け、多様な意見を引き出すための参加型ワークショップの活用

2016年春 ボスニア・ヘルツェゴビナからの招聘教員による授業

教育学科は、東欧のバルカン半島に位置するボスニア・ヘルツェゴビナから教員を一学期間招聘しました。ラリサ・カスマギッチ先生はボスニアの首都にあるサラエボ大学の教員です。上智大学では、異文化間教育、平和教育、英語教育と異文化理解、といった科目を教えています。先生の授業は、生徒間のディスカッションや積極的な発言を奨励しており、日本人生徒も英語で活発に意見を出しています。中でも平和教育の授業は、90年代の民族紛争とその紛争後を過ごされた先生の経験を交えた迫真的で貴重な内容となっています。(文責:西野真優、教育学科3年生)

2015年度 国際基督教大学・上智大学合同ゼミ開催

10月29日に国際基督教大学(ICU)の西村幹子教授と小松太郎教授の合同ゼミが上智大学にて行われました。昨年に引き続き今回で2回目の開催となります。ゼミでは、学生がそれぞれの卒業論文に関して発表を行いました。普段とは異なる環境でのゼミということで、参加者にとっては新たな学びを得ることのできる良い機会になったようです。合同ゼミ終了後には参加者全員で懇親会を行い、食事をしながら親睦を深めました。


西村教授ゼミの学生たちと

卒業論文の作成に向けた学びあい:上智学院軽井沢セミナーハウスでの秋季ゼミ合宿

2015年10月中旬、外国教育史ゼミ(担当:高祖敏明教授)では、早くも紅葉に彩られた軽井沢のセミナーハウスで二泊三日のゼミ合宿を行いました。11名の4年次生が全員参加し、各自の持ち時間1時間のうち、それぞれが取り組んでいるテーマに沿った卒業論文の中間報告を20分程度行い、学生相互間での質疑応答(30分)と担当教授による指導(10分)を繰り返すという形で進めました。発表者の苦労と悩みに共感しながらの相互の指摘は、気づきと励ましを呼び起こし、共に学びあい、高めあういい機会となりました。セミナーハウスの食事もおいしく、お風呂も快適。写真は、全員が発表を無事終えた直後のもので、喜びと達成感が動作や表情によく出ています。

Fukushima Workshop 2015年9月14~9月18日

2015年9月に小松教授(国際教育開発学)のゼミに所属する教育学科の生徒4人で、Fukushima Workshopに参加しました。このワークショップには、福島大学、上智大学、そして立命館大学で学ぶ留学生が参加し、「ふくしま」の現状について共に英語で考え、学びました。教授や研究者の方の講義による学びはもちろん、被災地や桃農園、被災者の人々が今も利用する仮設住宅などにも訪問させていただきました。そこで、東日本大震災直後に福島が直面した問題から、4年たった今、福島が新たにどのような問題を抱えているのか、そして私たちに何ができるのか考えました。

福島被災地視察に行ってきました

福島大学の吉高神教授による引率で、小松教授(国際教育開発学)と教育学科開講科目の受講生3名が福島の震災・原発事故被災地を視察しました。東日本大震災から4年を経てもなお倒壊したままの家屋、ゴーストタウンと化した街並み、高く積まれた汚染土が入った袋、どれもが現実の姿です。教育現場で学校の先生たちは、原発をどう扱うのかという難しい課題に日々直面している、というお話を聞ききました。今年9月には福島大学が1週間のワークショップを開催し、東北地方の大学生30名(留学生も含む)が国内外の被災地復興について英語で議論します。このワークショップに上智学教育学科の学生4名が参加することになっています。

多文化共生・ESD・市民教育のテキストを作りました

教育学科では、多文化教育・開発教育・環境教育を専門に研究している教員がほとんどです。そこで2011~14年度の3年間にわたって全教員がこれらのテーマについて研究会で発表しました。そして、2014年に大学生向けのテキストとして『多文化共生社会におけるESD・市民教育の可能性』という本を上智出版より刊行しました。

教育イノベーション「多文化共生社会におけるESD・市民教育」の授業

教育学科では2014-16年度に、新しいタイプの授業を行います。それは、教育学科の各教員が「多文化共生・ESD(持続可能な開発のための教育)・市民教育」に関する講義を輪講形式で8回行い、それに加えて参加体験型のワークショップの授業を5回行います。これにより、学生がグローバルな課題を「自分事」として捉えることをめざしています。
『上智新聞』で「上智一受けたい授業」として紹介されました。
具体的な授業の内容については下記を見てください。

「多文化共生社会におけるESD・市民教育」の授業内容

2014年10月1日 オリエンテーションおよび事前評価ワークショップ(田中治彦)
10月8日 ワークショップ1「私と世界」「私の原風景」(田中治彦)
10月15日 開発途上国と紛争後社会の教育と多文化共生(小松太郎)
10月22日 人の国際移動と多文化社会の教育変容(杉村美紀)
10月29日 多文化主義とは何か:その歴史と課題(加藤守通)
11月5日 ワークショップ2「みよし町中華街構想」(田中治彦)
11月12日 持続可能な開発のための教育(ESD)の歴史と課題(田中治彦)
11月19日 人口問題からみた持続可能な社会の実現(鬼頭宏)
11月26日 ワークショップ3「もし地球の気温が2度上がったら」(田中治彦)
12月10日 総合的な学習の時間とESD・市民教育(奈須正裕)
12月17日 グローバル化時代のシティズンシップと教育(髙祖敏明)
2015年1月7日 倉橋惣三の保育理論にみる国民教育と市民教育の課題(湯川嘉津美)
1月14日 ワークショップ4「30歳のわたし」(田中治彦)
1月21日 まとめと事後評価ワークショップ(田中治彦)

教育学科主催公開シンポジウムの開催

教育学科では毎年、そのときどきの教育に関する重要なテーマを取り上げて公開セミナーを開催しています。これまで行った主なシンポジウムは以下のとおりです。

2012年度
グローバル人材の育成とは?
2013年度
多文化・多言語国家ニッポン-おきなわ語と唄三線で感じ、考える
2014年度
18歳選挙権と市民教育の課題

教育と多文化共生:ボスニア・ヘェルツェゴビナへのスタディツアー

2014年9月に教育と開発・平和について理解を深めるために、小松教授(国際教育開発学)の引率で教育学科生10名がボスニア・ヘェルツェゴビナ国に行ってきました。ボスニアはイスラム教、カトリック教、セルビア正教会が混在している多民族国家ですが、1990年代初頭に激しい民族間の武力対立を経験した場所でもあります。ツアーでは、学校訪問や援助プロジェクト視察に加え、サラエボ大学の学生と教育と多文化共生について議論をしました。

サラエボ大学の学生たちと
サラエボ大学の学生たちと

教育学科が「緊急時の教育支援機関ネットワーク」に参加

2014年、上智大学教育学科は、災害や紛争後の社会における教育支援を議論する国際的な「緊急時の教育支援機関ネットワーク」(Inter-Agency Network for Education in Emergencies (INEE))のワーキングループのメンバーとして認められました。このワーキンググループには、ユニセフやユネスコ、世界銀行といった国際機関、Save the Children、World Visionなどの国際NGOに加え、米国コロンビア大学、オランダのアムステルダム大学、イタリアのフローレンス大学等の大学もメンバーになっています。

INEE